ここは気まぐれコラムのページです。塾長しんのすけが気まぐれで更新する、テニス関連の無駄話です。あ、真剣に読まないでね。あくまで塾長の気晴らしなんだから。

気まぐれコラム


ここでは、塾長がホントに気が向いた時にだけ、テニス関連の話題を取り上げています。下らないブログと同じで読んでタメになる物でもないので、気にしないでパスして下さい。

第24回『球出しを考える』
 球出しは、コーチの基本技術の一つ。見た目には大変簡単そうに見えるので、よく素人さんが『私も球出しぐらいなら出来ます』と言っているのを見かける。かく言う塾長もこの業界に飛び込むことを決めた際、当時のヘッドコーチに同じ台詞を言ってしまった恥ずかしい記憶がある。
 当時のヘッドコーチ(指導者資格B級)はかなりのベテランだったが、『人格者』という評価からは遠い所に居る人だった。結局はそれが元で塾長も傘下から離れたのだが、ことテニスに関してはさすがに長い経験で得た知見を持ち合わせていた。そのヘッドコーチに『球出しが一番難しいんや』と諭され、そういうものかと思い直した塾長は、当時毎朝早出して始業前の30分黙々と球出し練習に励んだ。
 ヘッドコーチはJPTA(日本プロテニス協会)のコーチ認定基準である『1分間に80球を直径1mの円内に確率80%で入れること』をクリアするようにとしか教えてくれなかったが、何とかその基準をクリア出来るようになった頃、実はそれだけではないことに気付いた。

 初心者と上級者の違いは何か。視点を変えればそれは無数に挙げることが出来るが、そのうちの一つに『打点(うまく打てるポイント)が狭いか広いか』があると思う。
 地面に静止している球を静止して打つゴルフと違い、テニス・卓球のようなスポーツは身体を動かしながら動く球を打つ。さしずめ野球やクリケットはその中間と言えるだろう。初心者にはこの『自分自身動きながら動くものを打つ』ということがことのほか難しい。何故難しいかと言えば、自分の位置・重心・バランスが時々刻々と変わる中、さらに弾んで上がったり落ちたり時には曲がったりする球との位置関係を補正することに慣れていないからだ。
 一方球出しは、自分の位置を変えなくても打てる位置にコーチが球を送ってくれる。どちらかと言うと野球に近い動作となる。ボールが動くことには変わりがないが、自分自身はさほど動かなくて良いので、バランスを保ちつつ距離を合わせる動作は格段にやりやすい。実はさらに、ここにコーチの技術が加わるのである。

 幾つかのスクールを転々とした方なら、球出しが上手なコーチと下手なコーチが居ることを知っているだろう。スクールによっては経費削減の為かアルバイトコーチ主体でまかなっているところもあり、そんなところでは先の『直径1m・80球/分・80%』の条件を大きく下回ったり、あろうことか球出しの球に全部トップスピンをかけていたりすることもある。そんな場合は論外だが、実際にはかなりベテランのコーチであっても打ちにくいコーチは居る。
 その技術の全てを詳らかにすると、商売敵をいたずらに利するばかりなのでやめておくが、球出しを真剣に練習したコーチであれば、球の位置が数十cmずれれば結果が大きく違うことには気付いているはずだ。もっと言えば、初心者は5cm違っただけでも、うまく打てたり打てなかったりする。球の位置だけではない。球の高さ・落下角度・速度・回転…。塾長が認識しているだけでも10個項目以上あるそれらの要素を少しずつ変えるだけで、全く打てなかった・打ち方がわからなかった方でも、ズバズバと鋭いショットが打てるようになるのだ。

 尤も、個人個人で違うその微妙な要素の組み合わせ(個人差)を見極めるのは、正直結構難しい。球出しをしながら、その生徒さんにとってどんな球が適切で、その球をどっち方向にずらせば技量を高められるのかを見極めるのは、正直5球や10球では無理な話。一般的なスクールで良く見られる4〜8球交替の球出ししか出来ないのであれば、正直塾長でもたいしたことは出来ない。
 そこで最近、主力チームの一つで
『ショット練習コース』
なるものを始めてみることにした。人数を絞り、一人当たり最低5分・解説を交えながら80球程度連続で球出しすることで、個人の技量を出来るだけ引き出してみようという試みである。これにより、球の微妙な出し入れで生徒さんの動きを誘導したり、今まで打てなかった球を打つ技術を、余裕を持って習得して頂こうと言うのである。
 まだ始まったばかりの試みだが、今のところうまく行っているようである。但し、塾長の中の体育会系の血が騒ぐのか、段々松岡修造氏のような口調になってしまうのは困りものだが。

 その意味で、JPTAの言う『直径1m・80球/分・80%』の条件は、どうもおかしいと思う。コーチの基本的な技量の有無を定量的に調べるには適当かも知れないが、1分間に80球も出していれば、生徒さんのフォームチェックにかけられる1球あたりの時間などたかが知れている。多少時間がかかっても、生徒さんの技量を引き出す能力を持っているのであれば、その方が評価が高くて当然であるし、生徒さんにとっても『良いコーチ』であると信ずる。塾長が悩んだ末にJPTAの資格を取らなかったのも、実はそういったところ・JPTA自身にコーチの技量を見抜く力があるのかどうかを疑問に思い、また制度自体のおかしなところが目に付いたのが理由である。

 皆さんがどこか新しいスクールに行くことがあれば、まずは体験コースでお目当てのコーチに球出しをして貰うと良い。素人の感覚で結構。その球を打ちやすいと感じ、自分の実力以上に良い球を打てていると思ったら、そのコーチは球出しがうまい(≒良い)コーチと思って間違いない。

2012.07.26  Copyright(C)しんのすけ

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開設に寄せて 塾長がこのサイトを開き、またテニスを続けようと思ったきっかけを綴ってあります。まあ私的メモっぽいので読まないでスルーしましょう。
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13 競技に賭ける人生 前回の内容を更に掘り下げ、競技で成功することにだけ一生を捧げることの可否を考えてみました。
14 若年層への指導法(2) パート1で触れた子供の頃に学ぶべき『正しい動作』に関して、反響を元に更なる考察を加えた。パート1(bP2)及びbP3を読んでから読まないと意味不明かも。
15 Chinese Power 2006年の全英女子ダブルスを制した中国人ペアの活躍は、特殊な技術や戦術だけに眼を奪われることなく基本を最大限磨くだけでもトップに立てるということを実証した、というお話。
16 技術の融合 『スクールに通って上手になったのに試合では勝てない』といった悩みの原因を、JPTAのプロ認定制度の矛盾と合わせて少しだけ語った駄文。
17 項目応答理論 生徒のやる気を引き出す為のノウハウが数学的に理論化されていることを見つけたので紹介。理屈嫌いな方にはちょっと難解かも。
18 とにかくポーチに出てみよう 北京オリンピックの反省を踏まえ、日本的でシステマチックな教え方の殻を破った『体験型』指導の可否について考察してみました。
19 とにかく試合に出てみよう 試合に出たことのない方に、実はそれほどハードルが高くないし、出て嫌だったらやめれば良いので一度出てみたら? とお誘いしてます。
20 質問に答えることの意義 レッスン時間の内外を問わず、生徒さんとテニスの話をすることの意義を、経験談を交えて考察してみました。
21 飲み物による暑さ対策 夏の暑さに備えて水分補給の仕方と注意点・手軽に作れる飲み物を紹介しています。wikipediaや整形外科学会への豆知識リンクもあります。
22 アウトしちゃ駄目! あまりに型にはまった無理な矯正は長所を消すだけでなく怪我にもつながるという実例を挙げ、本人にとって無理のないフォームで伸び伸びと打つことの大切さを語ってみました。
23 "専門家" 考 東日本大震災の時に露呈した『専門家』の危うさを回顧し、以って塾長自身への戒めを込めて専門家とは何かを考察した駄文。あ、ココでもJPTAの悪口言ってるなあ(苦笑)。


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