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第1回:開設に寄せて
コラム第1回目に際して、まずはこのページを立ち上げるきっかけになった3人の元受講生の女性に感謝申し上げたい。
僕は所属していたテニススクールを辞してから一旦は違う仕事に専念していたのだが、そのゴタゴタも一段落して日中にヒマが出来るまで、テニスから離れていた時期があった。しかし、そんな時に、テニススクールで私が受け持った事のある3人の女性が、コーチだった私の事を忘れずにまたテニスをしようと誘ってくれたのである。この人達がいなければ、私はそのままテニスから離れていたかも知れない。今では当時のスクールも消滅し、懐かしいあのコートは跡形もなく消えてしまったが、私の事を今でも『コーチ』と呼んでくれるこの3人の女性の為に私はまたテニスの世界に戻って来れたし、今再びこうやって皆さんにテニスの楽しみを伝える事が出来る。
その大きなきっかけを与えてくれた3人に、感謝。
そしてもう一人、忘れてはならない女性がいる。
それは私がコーチになって数年目の事だった。取り敢えず始めてみたコーチ業だったが、当時主に所属していた別のスクールのヘッドコーチが独善的でどうしようもなく、辞めようかと悩んでいた時に出会ったのがH.Eさんという女性。彼女は私が担当した短期レッスンのコースを受講し、とても楽しそうにしていた。たった2日間・都合3時間のレッスンだったが、終わりぎわに
『今までで1番楽しい2日間だった』
と言って喜んでくれたのである。そのH.Eさんの笑顔を見た時に
『もう少し頑張ってみよう』
と思いなおし、所属スクールもH.Eさんのいる方に絞って頑張ってきた。その結果が今に至っている。
あの時H.Eさんに出会わなかったら、私はとっくにテニスを辞めていただろう。今再びこうやってテニスに関われるのも、彼女のあの笑顔があったからである。
改めてH.Eさんにも感謝。
さて、私信みたいになってしまったが、『コラム』と名乗るからにはもう少し他の話もしなくてはなるまい。
今回は、『テニス』というものについて。
随分大雑把なタイトルだが、私がテニスをどう考えているのか、その心根を書いておきたい。
テニスに関わり、テニスを愛する一人である私が言うのは変だが、実は私はテニスを特別なものとは思わない。よくテニス好きな人が
『テニスほど楽しいスポーツはない』
とか
『テニスほど奥が深いスポーツはない』
とか言うのを聞くが、これは何も別にテニスに限った事ではないと思う。例えば一般に地味なスポーツと言われる『ゲートボール』でも、やっている人に聞くと『楽しい』し、『奥が深い』のだと言う。『卓球』も『カーリング』も『カバディ(って知ってる?)』も同じ。相手を倒すか土俵の外に出すだけの単純な競技である『相撲』の奥が深いのは、日本人の多くが感じるところだろう。
要するに、『奥が浅い』ものなどあまりないのだと思う。人間の持つ飽くなき探求心はどんなものにも奥の深さを作り出し、楽しみを見出して行く。その結果が『奥が深い』のであり、また『楽しい』のかも知れない。
よって私はテニスを特別視しない。生粋のテニスコーチが言う『テニスにしかない楽しさ』『テニスだけの奥深さ』なんてないと思うから、他のどんなスポーツでもそれを楽しいと思ってプレーする人を同じように尊敬するし、他のスポーツから良いと思える部分はどんどん拝借してレッスンに取り入れる。野球の経験者には身体と腕の動きを素振りに例えて教えるし、ゴルフ経験者にはスウィングの時の腕の三角形にたとえて最適な腕の振り方を指導する。また医学的な知識も使い、腕の動きと力の入り具合を関節の構造から解析したりもするし、肘や腰に負担のかからない打ち方を考案しもする。
何故なら、多くのスポーツに共通する原理である『(身体に過度の負担をかけない範囲で)最適・最速の動き』をいかに実践するかを突き詰める為には、『テニスだけが特別』であると考えるよりも、『全てのスポーツはその原理面において共通』であると考えた方が合理的だからである。
但し、テニスを愛する者の一人として、どのスポーツにも共通の奥深さとどのスポーツにも通じる楽しさを、他ならぬ『テニス』に求めてくれる人がいるのは、素直に、本当に、嬉しいと思う。
2002.12.31 Copyright(C)しんのすけ
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