とある機会に、テスト理論の一種である表題の理論(
※参照:Wikipedia
項目応答理論)に接する機会があった。この中に『コンピューター適応型テスト』というものがあり、自分のコーチングスタイルに当てはめて考えた時、いちいち納得できるものがあったのでここでちょっと紹介してみようと思う。
とは言え、数学者や一部の教育関係者以外には全く知られていないこの理論、ここで紹介するには解説が必要だろう。
皆さんが子供の頃、試験というと天才・秀才から悪ガキまで学年が同じなら全員が全く同じ問題を解くものと決まっていたと思う。当然ながら得点の多寡は成績順と等しくなり、お馬鹿な子供が幾ら頑張ってもそうそう高得点は取れるものではなかった。
学校が成績も能力もバラつきのある特定多数を相手にする場である以上、その中で『優劣』をつける為には仕方がなかった部分もあるが、どうやっても高得点が取れない子供の学習意欲を損なったり、逆に天才にとっては物足りなくてそれ以上伸びる可能性を摘み取ったりする弊害もあった。そこで考えられたのが、
『1問1問解くたびにその結果に応じて次に出す問題を変える』
というシステム。
つまり、悪ガキでも簡単な問題なら解けるはずなので、最初に出した問題でてこずるようなら次には少し易しい問題を出し、それでも駄目なら更に易しい問題、そこで解けたら同レベルかその少し上の問題を続ける。天才・秀才には解ける限りドンドンと難しい問題を出し、時には学年のレベルを超えた問題にもトライさせる、といった手法である。これだと、同じ学年の同じクラスでも全員が皆幾らかずつ違う問題を解くことになる。これを実現するには紙に印刷したテストでは不可能だったが、コンピューターを使い画面上で出題することで可能になった技術と言えよう。ゲーム好きのヒトなら『状況によって次の展開がコロコロ変わるRPG(ロールプレイングゲーム)のようなもの』と言えばわかりやすかろうか?
この手法だと全員の得点(○×の数)が高いレベルで平均化されてしまうが、各問題には予め難易度レベルに基づく点数が与えられているため、きちんと評価が出来る。何よりもどの生徒も程よい『手応え(手強さ)』を感じながら問題に取り組めるので、各員のやる気を引き出しやすいというメリットが見逃せない。
さてここで本題に入るが、こうゆう理論があるということを知った塾長が我とわが身を振り返ったとき、自分のやっていたことがまさにこの理論と同じものだということに気付いたのである。
各人のレベルをいち早く把握し、そのレベルに応じた内容を組み立て、常に『もうちょっと頑張れば出来る』『あと少しで出来る』ところで頑張らせることで各人のやる気と能力を引き出す。
職業的に『ヒトにモノを教える』ということをしている方(教師・師範・コーチなど)なら全員が出来るはずのことだが、実際にはそうでない方も多いのは、塾長が常々嘆いていることである。
ともあれ、自分のやって来た手法が数学的な理論に裏付けをされた(というか理論化されるより何世紀も前から当たり前だったことが数学的に体系化されていたことがわかった)というのはちょっと気分が良かったので、皆様にご披露してみた次第。但し、『自慢』の為にした訳ではない。世の中にはこうゆう理論があり、これを使えば楽しく・速く能力を引き上げられるのだということを周知し、振り返って自分の周りに居る教師・師範・コーチなどに当てはめてみてその方の指導を仰ぎ続けることが順当かどうかもう一度考えて頂くことにより、世間にはびこる
『ヒトにモノを教える職業には向かないセンセイ』
を駆逐する一助になれば、と願ってのこと。