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第8回:ダブルス放送局
春先以降さっぱり当たらなくなった天気予報では、今年(2003年)の夏は『例年より暑い』はずだった。しかし、ご承知のとおり(特に盆休み頃は)予想と期待に反しての多雨冷夏。お盆休みを棒に振った方も多かろう。かく言う私もその一人で、サバイバルなアウトドアライフを狙ったキャンプで、友人と二人雨中のテントの中で無為な日々を過ごす羽目になった。
そのストレスが指先を通じて電気的な超常現象を引き起こし…たのかどうかは知らないが、『そろそろHPの更新を…』と考えていた矢先の先月初旬、我が愛用する先代PCが突如、川を渡って花園の方に行って(逝って)しまった。全く突然であり、何の対処もしていなかったので、ない袖を振り絞って今目の前にいる2代目をお迎えし、ついでにISDNだった回線を高速回線に取り替えるのに手間取り、なんだかんだするうちにこんな時期になってしまった。携帯電話のメルアドを教えている数名からは問い合わせのメールが届いたが、それ以外の方々には全く連絡の取りようもなく、御迷惑御心配をおかけした段、平に御容赦を、とお詫び申し上げたい。
そんなこんなで遅くなってしまったが、第8回のコラムを始めたいと思う。
早速私事で恐縮だが、この春から我が家(というか私の住んでいるマンション全体)に『ケーブルテレビ』なるものが引かれた。立地条件(電波状況)の良さから今まででもNHKほか全11chもあったテレビが更に20ch以上も増えてしまい、本気で見ようと思ったら一日最低25時間はTVの前に釘付けになってしまうようなえらい事である。しかし、良い事もあって、スポーツ専門のあるチャンネルでは(主に)海外で行われているテニスツアーの映像が比較的頻繁に見られるのである。その中でも、夏の間に放送されたダブルスの映像は貴重であった。
ご承知のとおり、テニスをしている(学生を除く)人の殆どは『ダブルスプレーヤー』である。なのにしかし、全英や全仏などの時期にTVで放送される殆どはシングルス、それも男子のものばかりである。
時速200kmを超えるサーブや力強いプレー、速い展開は『TV受け』するのかも知れないが、実は私は(特に男子の)シングルスは嫌いである。相変わらず口さがない発言をお許し願いたいが、あんなものは野球で言うところの『ホームラン競争』みたいなものだと思う。
確かに技術的には凄いと思うが、滅茶苦茶に早いサーブで相手が反応も出来ずエースになったのを見ても、なんだか損したような気にさえなる。野球だって、投げて、打って、走って、という息詰まる展開の中に面白さがある(のだと塾長は思う)。テニスも、サーブを受けて、リターンをしのいで、ボレーで攻めて、パッシングで抜き返して、という『せめぎ合い』がある方が見ていて面白い。長いラリーになると見ていて引き込まれるように思うし、終わった瞬間には手が痛くなるまで拍手で称えたくもなる。それが、
『サーブ1発どっか〜ん!』
だけで終わってしまうのは、やはり物足りない。野球のホームラン競争のように、相手とのせめぎ合いも何もなくてただ一方的に打っているようなものだからだろうか。異論がある方は、多分、プロ野球のオールスター戦のプラチナチケットを手にしても試合前のホームラン競争だけを見て満足して帰れる方なのだろう。少なくとも私は、その後の試合内容まで見てからでないと、席を立つ気にはなれない。
そう考えると、なぜTV各局はダブルスを放送しないのかと思う。テニスの面白さを理解するには、ダブルスの方がいいと思うのだが。
ただ、この話をすると以前関西圏のM放送局が平日の深夜に(実験的に?)ダブルスを放送した時の事をどうしても思い出してしまう。それまでダブルスなんてまったく放送した事がなかった(んじゃないかな?)TV局がついにダブルスに目を向けたか? と思って喜んだのだが、それ以降(最近杉山選手が活躍するまで)全く放送されなかった。思うに、放送時間帯が(確か)深夜2時頃というえらい時間だった事(たぶんその枠しかスポンサーがつかなかったんでしょうなあ)、当時あまり一般には有名でない&ビジュアル的にも華やかさに欠ける選手同士(アランチャ・サンチェス・ビカリオとか)の試合だった事、時間帯ゆえに前宣伝が打てなかった事などが影響したのだろうと思う。
しかし近年、有難い事に杉山愛選手が活躍してくれた事で、ようやく女子ダブルスもTVで日の目を見る機会に恵まれるようになって来た。それでも十分な量とは言えないが、一般のプレーヤーにも役立つ(お手本となり得る)プレーも数多く含まれており、チャンスがあれば見ておくべきだと思う。
但し、若干の注意が必要だ。以前テニススクールにいた時にも数名、全英、全仏などの大会の時期になるとTVで見た男子シングルスプレーヤーの映像に感化されて一時的に無茶苦茶なスィングになってしまう人がいた。ダブルス、特に女子の場合はそれほど早くも強くもないので影響を受けることも少ないとは思うが、あまり変な動きを見習って欲しくはない。見て欲しいのは、一般ではあまり使われないオーストラリアン(又はI)フォーメーションの実態や、杉山選手が前衛でどんなタイミングで動いているか、といったフォーメーションや動きのタイミングなどである。男子シングルスは見ても決して参考にしようなどと思ってはいけない。体を壊すのがオチである。
それにしても、ダブルスの放送は杉山選手がらみばかりでいまだ少なく、TV局としても市場(視聴率)開拓の為にミックスなんかも含めてもっともっとダブルスの試合を流して欲しいものである。このHPをTV関係者が見て、ケーブルテレビにでも『ダブルス専門チャンネル』とかを作ってくれたらいいのになあ〜、と、あらぬ夢を抱いている今日この頃である。
2003.10.22 Copyright(C)しんのすけ
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