ここは誌上レッスンのバックナンバーです。過去の作品を各話・または同一テーマ毎にまとめてあります。

誌上レッスン・バックナンバー



第33回:ポイントに応じたプレー

 以前、本サイトのコラム欄において『計算上相手より総得点数が少なくても勝つことは可能』と紹介したことがありますが、今回はその知識を実戦に活かす為の考え方を解説してみましょう。

 『勝っていると思っていたのに、終わってみれば負けていた』
 『結果は負けたけれども気分的には負けた気がしない』
という経験、ありませんか? そんな時、得失点数を調べて見ると、負けた側の方が沢山ポイントを奪っていることがよくあります。前述のコラム欄で計算した例では、ゲームスコアが同じ6−4でありながら、得点総数が24・失点総数が16(得失点差+8)で勝つ場合と、24得点・34失点(得失点差−10)で勝つ場合を挙げてあります。4ポイント先取で1ゲーム・6ゲーム先取制というシステムの為せる業ですが、これを見て思うのは、
『取らなければならないポイントさえキッチリ取れば勝てる』
裏を返せば
『取るべきポイントを落としてしまうと総得点数で大きく上回っても勝てない』
ということ。試合中に、そのことをキチンと意識してプレー出来れば、自分達より得点力の強い相手にも勝つことは可能です。

 一方で、失うポイントに対しても実は色々と注意が必要です。
 将棋の用語に『捨て駒』というものがあります。将棋は駒を動かして相手の王将の逃げ場を奪い追い詰めるゲームですが、その過程で相手の駒を奪い、自分の駒にして使うことが出来ます。このため基本的には相手に駒を奪われない方が良いのですが、その後の展開を有利に進める為に、敢えて相手に取られると分かっている駒を打つことがあります。これが『捨て駒』で、駒数の増減で見れば相手有利に見えても、うまく打てば結果として相手の駒を思うように誘導し、自分に有利な状況を作り出すことが出来ます。
 テニスの場合にも『捨て駒』ならぬ『捨てポイント』の考え方が応用出来るはずです。
 例えば相手前衛のポーチがうまい時に、取られてもいいからと覚悟のうえでストレートに打つケースを考えてみましょう。そうすることで相手前衛に
『この人はストレートにも打って来るんだな』
と思わせ、ストレートを意識させることでポーチに出にくくなるよう誘導する作戦です。誘導に成功すればクロス方向のストロークを幅広く打てるようになり、その後の展開が楽になります。
 但し、これを自分がサーバーでカウントが30−40の時にやると、そのゲームを失う危険性が出て来ます。サービスダウン(自分側のサービスの時に相手にゲームを奪われること)をすると、少なくともあと1つ・出来れば2つブレークバック(相手側のサービスの時にゲームを奪い取ること)しないと勝てない計算になり、かなり苦しくなります。
 一方、自分がレシーバーでカウント0−30の時にやるなら、もし失敗してもまだ15−30で優位を保てるうえ、以後の相手前衛の動きを誘導することは出来ます。成功すれば0−40となり、誘導の効果と相まってブレークの可能性はグンと高まります。
 以下に、ゲームの序盤における、ポイントによる考え方の違いの例を列挙してみました。
得点 サーバー側の時 レシーバー側の時
0−0 先にポイントを奪いたいのでまずは得意な作戦を使う 相手の様子を伺う意味で色々な作戦を使う
15−0 次を取るとかなり楽なので得点力のある作戦を使う まだ余裕があるので色々試しながら様子を伺う
30−0 0−0の時と同じ作戦を使って追加得点を狙う 0−0の時と違う作戦を使って相手を崩してみる
40−0 15−0の時と同じ作戦を使ってゲームキープを狙う 攻撃力の高い作戦を使い、ゲームを落としてもプレッシャーを与えられるようにする
0−15 1ポイント落としたがまだ少しは余裕があるうえサイドが変わったのでまずは得意な作戦を維持する 1ポイント取れた作戦をこのサイドでも使ってみて相手の弱点なのかどうか確認する
15−15 先にポイントを奪いたいので得意な作戦を使う 1ポイント取ったサイドなら同じ作戦を・落としたサイドなら違う作戦を使ってみる
30−15 原則得意な作戦を使うが、このサイドが1ポイント落とした側なら違う作戦を試しても良い 攻撃力の高い作戦を使い、ポイントを落としてもプレッシャーを与えられるようにする
40−15 このサイドが1ポイント落とした側なら違う作戦を試してみる 攻撃力の高い作戦を使い、ゲームを落としてもプレッシャーを与えられるようにする
0−30 両サイドともに得意な作戦が通用しなかったのですぐに違う作戦を試す 2ポイント連取出来た作戦を維持してポイントの積み増しを狙う。
15−30 得意な・しかもミスの少ない作戦でまずは30−30に戻す 相手は守りを固めているはずなのでロブリターンなど大きく崩す作戦を使う
30−30 先にポイントを奪いたいので得意な・しかもミスの少ない作戦を使う ここでポイントを奪うとかなり有利なのでとっておきの作戦を使う
40−30 40−40に持ち込まれたくないので堅実なプレーでゲームキープを狙う ロブリターンなど、相手を大きく崩す作戦に出て40−40に持ち込むことを狙う
0−40 守りを固めミスの少ないプレーに徹して挽回を狙う 相手は守りを固めているはずなのでロブリターンなど大きく崩す作戦を使う
15−40 0−40からの挽回なら同じ作戦を使い、それ以外なら作戦を変えて逆転を狙う 相手は守りを固めているはずなのでロブリターンなど大きく崩す作戦を使う
30−40 絶対取りたいポイントなのでミスが少なく得点力の高い作戦を使う 絶対取りたいポイントなのでミスが少なく得点力の高い作戦を使う
40−40 先にポイントを奪いたいので得意な・しかもミスの少ない作戦を使う このサイドでポイントが取れていたならその作戦を・取れていなければ大きく崩す作戦を使う
A−40 このサイドで過去に通用した作戦を使いゲームキープを狙う つなぎを多用して相手のミスを待つ作戦でプレッシャーをかける
40−A 絶対取りたいポイントなのでミスが少なく得点力の高い作戦を使う つなぎを多用して相手のミスを待つ作戦でプレッシャーをかける
 但し、これはあくまでオーソドックスなオールラウンドプレーヤーを想定したシミュレーション(塾長ならこんな感じを基本にするかなあ?といった程度の空想の産物)であり、プレースタイルが想定と違う場合や対戦相手次第では内容もかなり異なるものになります。また、試合の序盤か中盤か終盤か・ゲームカウントでリードしているかいないか・などによっても変わるため、あくまで参考程度に考えて下さい。
 但し、同じポイント数でもサーバー側とレシーバー側では考え方が違うこと・ポイント数の違いでこんなにも考え方が変わるんだ、ということは知っておいて損はありません。特に、30−30の時のように取ると落とすとではその後の展開が大きく違う節目のポイント、30−40・40−Aの時のサーバー側のような絶対落とせないポイント、30−0・40−0・40−15の時のサーバー側のように落としてもまだ優位を保てるポイント、40−0の時のレシーバー側のように捨て駒に使いやすいポイントなど、ポイント次第で次に何をすべきか・何が出来るかはある程度決まってきますので、ゲーム中もポイント数の把握および作戦の組み立てには注意しましょう。これが出来るようになれば、より少ないポイントで効率良く勝ちを得ることが出来るようになるでしょう。

2010.08.11 Copyright(C)しんのすけ


★迷惑メール対策としてメールアドレスに細工をしました。メールリンクタブ(上の『本サイトに関する…』の黄色い画像)をクリックするとメールソフトが立ち上がりますが、あて先(メールアドレス)の本来『@』マーク(小文字)となるべきところを『●』にしてあります。ご面倒ですが、『@(小文字)』に直してご使用下さい。
メールソフトがうまく立ち上がらないなどの場合は、ご面倒ですが次の文字列をコピーし、同様に『●』を『@(小文字)』に変えてご使用下さい。
edail●sutv.zaq.ne.jp



since 2002.12.31  Copyright(C)しんのすけ