ここは誌上レッスンのバックナンバーです。過去の作品を各話・または同一テーマ毎にまとめてあります。

誌上レッスン・バックナンバー


 『岡ひろみ』『竜崎麗香』『宗方仁』…。これらの名前に迂闊に反応すると、世代=年齢がバレてしまいますのでご注意を!

第34回:エースをねらうな!

 今回のサブタイトルは、見たまんま・あの漫画のパクリです(笑)。しかし、実はこれが実際のプレーでも非常に重要な金科玉条であり、あの漫画で『この一球は絶対無二の一球なり』などの名言を盛んに取り上げられていた福田雅之助(wikipedia)も、生きていれば大きく頷いたに違いありません!(←適当)

 昔、ポーチに出る時に遮二無二飛び出し、何が何でもその1発で決めようとする生徒さんがいました。その勢いと決意を秘めた表情は峻烈で、傍で見ていた塾長は『まるで親の仇に出会ったようだ』と思ってしまいました。
 実際、上級者以上のダブルスの試合では、ポーチに出るとその1球で決まってしまうことが多いですね。それをして『決定力がある』と評価することもあります。しかし、中級以下のレベルでは、それが『ポーチ=絶対に1発で決めなくてはならない』との思い込みにつながり、結果的に馬鹿打ちしてミスになったり、相手が反応し返球された時になす術もない状態に陥ることが多いように思います。
 無茶打ちしているように見える上級者のポーチも、実際には決めきれるかどうかや、どのコースにどんな強さの球を打つのが適当かなどを瞬間的・冷静に判断して打っています。その上でタイミングや読みがバッチリ合って『ココは目一杯強打した方が良い』と思った時、打てるコースを選んで強打しているのですが、中級以下のプレーヤーはどうしても印象の強い強打ばかり目に焼きついてしまい、打ちきれないと判断してコース狙いに切り替えた時や、ドロップショット・アングルショットでしのいだ時のことを見ていません。故に、『自分も上級者のようなプレーがしたい』と真似する時、何も考えずに強打を使って失敗し自滅してしまうのです。
 また、中級者以下では相手に強打されると返球出来ないことが多く、そのことも『取り敢えず強く打ってさえおけば何とかなる』という誤った判断を招いてしまうようです。

 例えば、ポーチに出たはいいが相手にそれを読まれていて、ムーンボールのようにギリギリ手の届かない高いストロークを使われたとしましょう。ポーチの為に激しく動いている時、このような高い球は腕が伸び切ってしまい処理が非常に難しくなります。それなのに『うまくポーチに出られた!』『高い球だ!』『球速が遅い!』といった点だけ見てしまい、何となく強打出来そうな気がして手を出した結果抑え切れずにホームラン、なんてことが良くあります。この場合、前衛は無理せず手を引っ込めた方が、安定した状態にある後衛が状況を見ながら適切に打ってくれるので何とかなるものです。勿論、サインプレーで後衛がチェンジしてしまっている場合には、無理でも前衛が処理するしかありません。その場合は、強打だと球を抑え切れないのでつなぎの球を打つことになりますが、どこへ打つにも難しくかなり悩みます。
 図の左側では、前衛の頭上ギリギリの球を後衛に任せています。後衛はまだチェンジしていないので、この球は普通に(球速が遅くバウンドが高いぶん人によっては非常に)打ちやすい球となっており、落ち着いて処理出来るしミスの可能性も極めて低くなります。ただ、出来ればポーチに失敗した前衛のことも考え、陣形を整える時間を稼いだり相手前衛にポーチされないような球を使いたいところです。
 図の右側は、サインプレーで前衛がポーチに出ると同時に後衛がチェンジした形です。この場合前衛がこの球をスルーしてしまうと後衛にはカバー出来ないため、前衛は何が何でも球を捉まえる必要がありますが、高いところで腕が伸び切った状態なので強打は出来ません。緩い球を使いながら、しかも前衛をうまくかわして細かいコントロールをしなくてはならず、結構高度なテクニックが必要です。一般的には最も距離の長い相手後衛側@に深い球を打つのが、相手前衛をかわしつつ時間も稼げるのでベターでしょうが、球速が落ちるため特に男子の場合は後衛からかなり強打されることを覚悟しないといけません。次に狙いたくなるのがAのハイアングルショットですが、ドロップショットと言うにはあまりに打点が高く、2バウンド目までにかかる所要時間が長くなるため、足の速いプレーヤー相手だと絶好の決め球を渡してしまうことになりかねません。塾長のオススメはBの相手前衛の後ろ側にロブっぽく落とすことです。飛距離が足りないと相手前衛にスマッシュされる危険性はありますが、うまく前衛の頭上を越えることが出来れば、相手をチェンジさせ後衛にバックハンドのランニングショットを打たせることになるので、一発逆転の目も大きくなります。実際塾長はこれで結構オイシイ思いをしており、得意技の一つとして重宝しています。

 以上のように、前衛はただ思いっきり叩くのが仕事と言う訳ではなく、状況に応じて手を引いて後衛を頼ったり、緩いコントロールショットで凌がなければならないことも多くあります。今回は『高い球を打たれたら』というシチュエーションで考えてみましたが、ネットを越えて落ちて来る低い球(前衛が打つ場合はローもしくはハーフボレーにならざるを得ないような球)の場合も、同様にスルーしたりコントロールショットを使うことはよくあります。
 1発で決める、いわゆる『エースショット』は決まれば気持ちの良いものです。ストレス発散の為にテニスをしているなら、どんどん狙って下さい。しかし、勝つ為に、上達する目的でテニスをしているなら、闇雲なエース狙いはプレーの幅を狭めてしまいます。エースは最初から狙って打つものではなく、『ポーチに出てみたら運良くタイミングも位置もバッチリで、打ってみたらエースになった』という、いわば『結果論』『運頼み』的なショットだと思って下さい。

 重ねて言いましょう。ポーチに出る前から『エースをねらうな!』

2011.03.23 Copyright(C)しんのすけ


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