ここは誌上レッスンのバックナンバーです。過去の作品を各話・または同一テーマ毎にまとめてあります。

誌上レッスン・バックナンバー


 『屋根付き玄関で悪口連発』『ベランダで一斉射撃』とは一体何のことでしょう?

第35回:ポーチに出るタイミング(レベル2)

 ポーチに出るタイミングについては、誌上レッスン第12回でも取り上げましたが、今回はその続編を書いてみようと思います。
 塾長なりに今年のレッスンのテーマを『ポーチに出られるように』と決めて指導を重ねて来たのですが、レベルが上がってもやはりポーチは難しいようです。一方で、ダブルス上級トーナメント出場レベルの強いチームの動きを見ていると、非常に思い切り良く飛び出していて決定率も結構高いです。中級者以下には
『何であそこまで思い切って出られるのか?』
『出てもストレートを抜かれにくいのは何故なのか?』
といったところが『謎』のようですね。
 そこでまずは、英語のお勉強から始めてみましょう。ってコラ! そこ! 逃げない!

 日本語で『ポーチボレー』『ポーチに出る』と言っていますが、正確な綴りをご存知でしょうか? 正しくは『poach volley』(のはず)なんですが、WEB上ではどう言う訳か『porch volley』の方が優勢です。検索大手Googleでも『poach volley』で検索すると『もしかして: "porch volley"』と表示されており、件数も『poach 約577件』に対して『porch 約2,280件』となっています。
 手元の英単語辞典で確認すると、
poach
他人の土地や領分に侵入する・不正手段で盗む
porch
外に張り出した屋根付きの玄関・(米)ベランダ
となっています。原語で見ると何やらpoachの意味が物騒なので、それを嫌ってporchに流れてしまったのだと思いますが、実際には『後衛が打つべき球を横取りして前衛が打つボレー』のことを『ポーチボレー』と言うので、poachの方が正解です(と思います…外れてたら赤っ恥だなぁ〜…汗)
 ちなみにvolleyは『地面に落ちる前の球を打つ』という意味ですが、他にも『一斉射撃』とか『(質問や悪口の)連発』といった意味があります。このため、『porch volley』を意地悪く直訳すると冒頭の『屋根付き玄関で悪口連発』『ベランダで一斉射撃』といった意味になってしまいます。

 話が少々脱線しましたが、ポーチとは『後衛の領分に侵入して球を横取りする』ことです。その意味で考えれば、前衛はかなり思い切って飛び込んで行かない限り、『poach』は出来ません。上級者ほどこの『思い切って』には忠実で、そこが初・中級者に『えっ! 何でこんな所まで!?』と思わせるようです。

 図で確認すると左のようになります。左上の相手後衛がストロークを打つ際、当然前衛の守備範囲(で示した辺り)を避けようとしますので、線の範囲にコースが集まります。前衛はこれを踏まえて線の範囲、それも最も確率の高い線の中間辺りを目がけて飛び込んで行くことになります。最低でも線は踏み越せるようでないと、『poach』は出来ないのです。
 これだけ大きな動きになると、当然かなり素早く動かないといけませんし、相手に読まれた場合にストレートへ打たれるとどうしようもありません。そこで第12回で述べた通り、相手がストレートへ打ってこないだろう、或いはストレートへ打ちにくいだろうという予測をかけて動くことになります。この『読み』が、上級者はうまいのです。

 具体的に、雁行陣vs雁行陣の場合を例にどんな風に読みをかけているのかを列挙してみます。
こちらのストロークが深かった
深いストロークはどうしても押され気味になり、クロスへつなぎ球を打つかロブを挙げることが多くなります。ロブの処理は後衛に任せ、前衛はポーチを狙いやすくなります。
こちらのストロークがセンター寄りに入った
センターからは角度のあるショットを打ちにくいため、ポーチに出やすくなります。
相手前衛が先にポーチに出たが失敗した(手が出せず結局後衛に任せた)
『相手前衛がポーチに失敗したら直後にポーチに出る』というのは、試合慣れした方なら多くが実践している戦術です。この状態(=陣形が崩れている状態)だと相手後衛は陣形を作り直す時間が欲しいため、クロスまたはロブに打ってくることが多く、そこで素早くポーチを仕掛ければ相手陣形の乱れ=隙をつくことが出来ます。
すぐに並行陣を取りたがる相手にやや浅い(アプローチを仕掛けやすい)球が行った
アプローチをクロスに打つことは『鉄則』ですが、このことは逆に『アプローチの球のコースは読みやすい』ことにもなります。ポーチに飛び込む為の時間は少し短くなりますが、読み切ることが出来れば決まる確率は高くなります。
相手後衛が低い打点で球を打っている
ストレート側はネットが10cm程高いため、低い打点からは狙いにくいものです。このため、低い球はクロスに打つことが多くなります。これを利用してクロスに的を絞ってポーチに出ます。
相手後衛がストローク戦に自信を持っている
相手後衛の方がストローク力が強い
相手後衛のストロークが良い場合は、それでグイグイ押して来ることが多くなります。この場合まずはクロスに打ち込んで崩そうとして来るはずなので、それを読んでポーチに出ます。押されている味方後衛を助ける意味でも、このパターンの時は多少無理をしてでも出たいところです。
相手後衛のストロークの球速が遅い
相手後衛がストロークでスライスを多用する
相手ストロークが遅ければ、それだけ余裕を持ってポーチ出来るほか、より遠くの球にも手が届くようになるので狙い目です。スライス系の球も球速が遅いことが多いため、同様に狙い目となります。
 ザッと思いついただけで、ポーチに出やすい条件はこんなにあります。この他に相手の立ち位置・フォアで打つのかバックで打つのか・回り込んでいるか・身体の向き(開き具合)など、様々な条件を見極められれば、どんどんポーチに出られるようになるはずです。

 但し、この際もしも相手に逆を突かれストレートを抜かれても、最初のうちはあまり気にしないようにして下さい。こちらが読みをかけているのと同様、当然相手も
『この展開なら前衛が出て来そうだな』
などと読みをかけ、逆を突こうと狙って来ます。その意味でストレートは『税金』のようなものです。それを嫌ってポーチを封印してしまうと相手の思う壺、相手後衛は伸び伸びとストロークが打てるようになってしまいます。寧ろ、抜かれても抜かれても出て来ることで相手により強いプレッシャーを与えることが可能になるので、嫌がらずに出続けたいところです(あまりにもスコスコ抜かれる時はこちらの癖を見抜かれている可能性があるのでペアと話し合ってみましょう)。

 とにかく、ストレートを抜かれても、ポーチでミスショットをしても、何度も何度も出続けることです。そうするうちに、自分なりの動くタイミング・取れる距離・飛び込みやすい位置などが必ず見えて来ます。上級者もオギャアと生まれた時からポーチがうまかった訳ではありません。何度も失敗してアナタより先にそのタイミング・距離を見つけただけです。さあ、皆さんも同じ道を歩み、ポーチの達人を目指しましょう!!

2011.11.16 Copyright(C)しんのすけ


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