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第29回:ロブへの対応

 昨年来レッスンを務めさせて頂いている、N野さんを中心としたグループは、中核となるN野さんが積極的に誘うこともあって最近色々なところで試合に参加しています。生徒さんが頑張っているのだからと、塾長も大きな大会などはなるべく見に行くようにしているのですが、そんな時に色々な試合を見ているとやはり、
『女性のダブルスはロブが多いなぁ〜』
という感想を抱きます。
 男ダブの場合は早い段階で強い球を打ち、『エースかアウトか』といった荒っぽい内容になることが多いため、割合速いテンポでゲームが進みます。一方の女ダブは、ロブを上げて追いついてロブで返してまたストローク戦になって…といった、かなり長いラリーが続くことが多いようです。特にロブの多さは特徴的で、塾長も以前、殆どロブだけで優勝した女ダブペアを見たことがあります。裏を返せば、女ダブの場合はこの『ロブ』にどう対応するかがポイントになると言えそうです。
 そこで今回は、ロブを多用する相手にどのように対処するか、を考察してみましょう。

 ひとくちに『ロブ』と言っても、ロブには大きく分けて『攻撃のロブ』と『守備のロブ』の2種類があります。まずは攻撃のロブについて考えてみましょう。
 例えばこちらが並行陣を取った場合、相手はまず足元に沈む球を打って来るでしょう。ローボレーさせることでミスを誘い、甘い球を打たせて逆転のチャンスを狙うのがセオリーだからです。こちらがそれを嫌がって前に詰めると、当然その分後ろが広くなり、今度は頭の上の手が届かないギリギリのところを速い球で抜いて来ます。前へ詰めた分、うまく抜かれてしまうと追いつくことは困難です。これが『攻撃のロブ』です。
 攻撃のロブへの対策は、一旦抜かれるとまず追いつけないことから『相手にそれを打たせない』ことに尽きます。具体的には、前衛の立ち位置を少し後ろに下げ、前衛の後方スペースを狭く見せることです。後衛の位置に立って誰かに前衛の位置取りをやって貰うとよくわかりますが、相手前衛が1〜2歩下がっただけで、後方スペースがグンと狭くなったように感じるはずです。これにより心理的にロブを上げにくくするのです。また、それでもロブを上げて来た場合には、多少無理してでもスマッシュで返球するようにします。こうなると、相手はますますロブを上げにくくなります。
 一方でこのポジショニングは、前衛がやや後ろに下がる為に攻撃力が下がり、ポーチ1発で決めることが難しくなります。どんな場合のポジショニングもそうですが、守備力と攻撃力は基本的に反比例するものであり、どちらかを上げればもう一方が下がります。守備力の上昇と攻撃力の低下、このバランスをどう取るかは、相手の得意技や作戦によって変化します。
 例えば相手がひたすらロブばかり打って来る場合には、前衛の位置に居ても球に触ることは不可能となるため、ポジションを下げます。場合によっては後ろ並行陣(2人ともベースライン付近に立つ陣形)を取ることもあります。一方で相手が全くロブを打って来ない場合には、後ろに居ては勿体無いので2人で前に出て並行陣を取り、素早く攻撃を仕掛けるようにします。
 実戦ではこの両作戦の中間を採ることが多いでしょうが、相手の癖やパターンを見抜き、どの辺りでバランスさせるかをペア同士で打ち合わせると良いでしょう。

 続いて、『守備のロブ』対策です。
 守備のロブとは即ち『追い込まれたりして悪くなった態勢を立て直す』ことを目的としたロブであり、滞空時間が長いため並行陣の頭の上を抜かれても走れば追いつくことが可能です。ここでは、追いつくことを前提に、ロブをどの位置でどう処理するか考えてみましょう。
 ロブとして高く打ち上げられた球は、『放物線』という軌道を描いて落ちてきます。高いところにあるうちはラケットも届きませんが、地面に近い時になら打ち返せます。そのチャンスは図のように都合3回あります。
 @Bの2回は、球の落ちてくるところを打つことになりますが、Aでは球が弾みあがるタイミング、いわゆる『ライジング』で打つことになります。このうち、殆どの方がB側(=ネットから一番遠い位置)で返球していることと思います。球の速度が大きく落ちるので返球しやすい反面、相手に十分な時間的余裕を与えると共に、かなり後ろに下がらされることで攻撃力が落ちてしまい、相手前衛にポーチされた場合に1発で決められる危険性も出て来ます。このためロブにはロブで返すことが多くなり、為に女ダブではいわゆる『ロブ合戦』に陥りやすいのです。前述した『ロブだけで優勝した女ダブペア』は、大会会場が後ろの狭いコートだったため、Bの位置まで下がれないことを利用していました。
 こうなると、@Aのところで何とかしたいですね。しかしAはライジングで難しいので、まずは@で考えてみましょう。
 @の球はBに比べて落下速度が速いので、あまり大振りは避けたいところです。一方で、その落下速度をうまく利用すれば、結構速い球を返すことも可能になります。また、3回のチャンスの中では一番早く返球することになるので、相手に与える時間的な余裕も一番小さくなります。そこで、慣れるまではまずこの球をボレーの要領で素早く返球することに集中しましょう。つなぎのボレーのように打てば、速度は出ないもののミスは少なくなります。
『それでは厳しい球が打てないので攻撃にならないんじゃないの?』
と思うかも知れませんが、相手がロブを上げた理由を思い出してみて下さい。攻撃ではなく守備のロブを使ったということは、『追い込まれたので時間が欲しくてロブを上げている』のです。時間が欲しい時に間をおかずに返球が帰って来たら、態勢を立て直す暇がなくなりきっと慌てるでしょう。こちらの球が緩くても、その状況であれば十分に相手を苦しめることが出来るのです。
 更に慣れて来たら、この球をドライブボレーで返球してみましょう。タイミングを合わせるには慣れが必要ですが、ストロークでトップスピンをかけられる方なら、やや高い打点で返球するストロークの要領で打つだけで、非常に強い回転のかかった攻撃的な球が打てます。
 残るAはライジングでの返球です。ライジングは相手の球の勢いを利用しやすく、攻撃力のある返球が可能です。相手にとっても守備のタイミングが計り辛くなりますが、同時に自分にとっても打つタイミングが難しくなるため、どちらかと言うと上級者向けです。ただ、あまりにも高い(=落下速度が相当早い)ロブなど、状況次第ではこちらの方が打ちやすいこともあります。レベルが上がったらこの位置での返球にもトライしてみましょう。
 いずれにせよ、相手にとっては追い込まれてからの『逃げ』のショットなので、あまりゆっくり返球するとそのまま逃げられてしまいます。ドライブボレーやライジングショットなど、高い打点・早いタイミングで打つことを心掛ければ、相手の守備のロブの効果を打ち消すことが出来ます。

 どんなショットも、自分がうまく使いこなすと同時に、相手が使った場合の対策を立てておくことが重要です。攻撃のロブも守備のロブも、その特性を理解し上手に対処出来れば、特に女ダブでは強力な武器になりますよ。

2009.11.18 Copyright(C)しんのすけ


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