さて、いよいよ今回は一連の『サーブのコースを打ち分けよう』シリーズ最終回です。今回のポイントをキッチリと習得出来れば、明日からサーブで悩む事はもうありません! …と、言い切れるようだといいなあ〜。かい!
冗談はさておき、まずは前回までのおさらいをしておきましょう。
前々回でトスアップを安定させる為の練習方法、前回はスウィングを安定させる為の方策を学びました。どちらもキッチリ練習してあれば、今回の作業は簡単です。だって、前の2つの技術を合体させるだけなんだも〜ん(笑)
前回の内容から具体的に確認して行きますが、各自にとって理想的なスウィング軌道というものがあり、その軌道の中でラケットがほぼ真っ直ぐに立つ場所=ラケットが相手コートを向く場所でラケットとボールが出会えるようにトスを上げる、ということでしたね? トスをコントロールする術は、前々回習得したはずです。この2つの技術を合体させ、ラケットとボールがタイミング良く出会えたら、サーブは必ず入ります。
では、実際にやってみて下さい。
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あれ? 入りませんか? おっかしいなあ〜。
実は、かなりの数のヒトがこれだけでサーブが入るようになる反面、それ以上に多くのヒトがいまだ入らないままであろう事は、塾長の予想通りです。この2つの技術をうまく合体させる為には、実はもう一つのポイントがあるのです。
多くの方が、サーブのトスを上げる時に
『おいオマエ、ちゃんと言う事を聞いて入るんだゾ!』
と語りかけるようにボールを見つめ、そのままトスアップします。ボールはシャイなので見られながらだと照れてしまい、恥ずかしがって思わぬ方向に…と言うのはウソです。実は、この動作をする人間の方に問題があるのです。
人間の平衡感覚をつかさどる三半規管は、急激な動きの直後は瞬間的に混乱を来たします。トスアップの動作とヘッドアップ(上を見る為に視線を下から上に上げる動作)を一緒にすると、この混乱の中でサーブを打つことになるのでミスをしやすくなるのです。また、常に視界の中心にボールがあることになるので、トスの位置がズレても気付きにくいという欠点もあります。
これらの欠点を回避する為には、トスアップの際に
先に上を向くという動作が必要になります。トスアップ前に上を向き、自分のスウィング軌道を思い出し、ラケットとボールが出会うべき場所を把握します。空間にその場所とイメージが見えてきたら、おもむろにトスアップします。この時、ボールを見ずにトスアップすることになりますので、十分にトスの練習をしていないと思うようにトスが上げられません。ここで、このシリーズ第1回目の練習が生きて来るのです。
実際にやってみるとわかると思いますが、トスを上げる前に顔を上に向けておくと、トスの微妙なズレがよくわかるようになってきます。このズレの把握が肝心で、ズレが小さければ何とか打つぐらいは出来ますが、ズレが大きいと判断したら即座にトスを上げなおす必要があります。ズレているのを無理に打ってもまずサーブは入りませんし、打った後に大きくバランスを崩してしまうことになり、何より前回ようやく決まったはずのサーブフォームが崩れてしまいます。
ルール上、トスの上げ直しはフォールトにはなりませんし、何度でも許されます(何万回もやられたらそれだけで試合時間が終わってしまいますケド)。納得の行く場所にトスを上げられるまで、何度かトライしましょう。うまくいい位置で打てたら、サーブは入るはずです。練習不足のうちは入らないこともありますが、それでも今までのようにトンデモナイ場所に飛ぶような事はなくて、かなり惜しいフォールトになるはずです。
ここまでで、アナタのサーブはかなり高い確率で入るように改善されたはずです。でも、今回のシリーズの目標は『サーブのコースを打ち分け』ること。そのために最後にもう一つのポイントをお教えしましょう。
サーブのコースの微妙なコントロール法は、ヒトにより色々なやり方があります。特にプロレベルでは相手にコースを読まれない為に特殊な方法でコントロールをしますが、多くの場合に共通するポイントがあります。それは、
『ボールは、接触したラケット面に垂直でボールの中心を通る線の延長方向に飛ぼうとする』
という物理法則です。
1本数千円の安物のラケットも○万円の超高級ラケットも、ガットの働きを考えるとこの物理法則からは逃れられません。その点ビリヤードと似ています(ビリヤードでは、当てられた球は当たった球との接触面に垂直な方向に弾かれる)。
ですから、ラケットとボールが当たる瞬間、ボールの中心を介して相手コートと丁度反対になる部分にラケットを当てれば、放っておいてもサーブは入ることになります(
※実際にはラケットの移動方向やボールの回転によって若干食い違いが出ますが、方向性としては概ねこの通りになります)。
特にフラットなサーブではこの傾向が強くなります。実際私は、落ちてくるボールの『どの部分を叩くか?』を意識しながらサーブを打ち、コースのコントロールをしています。慣れてくるとかなりシビアなコントロールも容易になりますが、この点に注意するだけで、サーブのコースをセンターとサイドに打ち分けるぐらいは比較的簡単に出来るようになります。
以上のことをまとめると、
- トスはボールを見なくてもある程度自由にコントロール出来るようになるまで練習する。
- ボールのない状態でスウィング(素振り)を繰り返し、自分にとってやりやすく、かつ安定したスウィングを会得するまで練習する。
- 上記1と2の動作がうまくマッチング出来ているかの確認がしやすいように、トスをする際には先に上を向いておく。
- 実際に打つ時には、打球のコースを決める為にトスアップしたボールのどの部分を叩くのかに集中する。
となります。
今回は少し長くなりましたが、ご理解いただけましたでしょうか? これで明日から、アナタのサーブの入る確率はグンと上がり、しかもある程度コースの打ち分けも出来るようになるはずです。サーブが思うところに入れば、その後の展開も思うように組み立てが出来るようになり、今までより快適に、楽しくテニスがプレー出来るようになるでしょう。
この3回の誌上レッスンを通じて、アナタのテニスライフがより楽しいものになりますよう、塾長も陰ながらお祈り申し上げます。
でも、その為にはまず、練習、練習!