ここは誌上レッスンのバックナンバーです。過去の作品を各話・または同一テーマ毎にまとめてあります。

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第23回:『サーブのコースを打ち分けよう(2)』

 今回は、前回のトスに続いて『スウィングのチェック』をしてみましょう。
 と言いつつイキナリ野球の話から始めちゃいますが(笑)、野球の試合を見ていて『ネクストバッターズサークル(英語だと (an) on-deck circle)』という言葉を聞いた事はありませんか? 今まさに打席についている打者の、次の順番のヒトが素振り(すぶり)をしている場所。バットに滑り止めのスプレーを吹き付けたりしながら、自分のスウィングを確認したり、ピッチャーの投球を見極めたりしている、あの場所です。
 あそこでの素振りは皆キレイで、力強く、当たれば全部ホームランになりそうな雰囲気ですね。
 ところが、たとえプロ野球選手とは言え、打席ではピッチャーの投球術に負けてキリキリ舞いになってしまい、空振りして尻餅を突くなんて事もままあります。
 ここでテニスの話に戻りますが、サーブをしながらこの『キリキリ舞い』をしているヒトをよく見かけます。
 1回サーブを打つ度に右にヨロヨロ、左にヨタヨタ…。打ち終わった時にじっとして居られたためしがない。でも、こんなヒトに限って、素振りをさせるとプロ顔負けの鋭いスウィングを見せたりします。恐らく、スウィングそのものについては雑誌や何かで相当研究しているのでしょうね。
 ではなぜ、そのスウィングが実戦では出来ないのか? これが野球の『ネクストバッターズサークル』と『打席』の違いと全く同じなんです。
 野球の場合、ネクストバッターズサークルでは実際にはボールがない状態ですので、頭で想像した球の軌道に向かって自分の身についている『完璧な』スウィングをいとも簡単に再現出来ます。ところが、打席に入ると相手ピッチャーがその想像の裏をかいて予想外のコースにボールを投げて来ますので、思うようなスウィングが出来ず、時にはバランスを崩してしまうのです。
 テニスの場合、トスは自分で出来るので、余程強風が吹いている時でもない限り自分の思うようなところに球を持って来れるはずですが、実際には前回のような地道なトス練習をしているヒトが少ないこともあって
『ボール(トス)の行方はボールに聞いてくれえ〜っ!』
という『始めにトスありき』式なサーブをしている方が多いのです。
 前回(第22回)の練習方法で、皆さんトスのコントロールは上がっているはず(?)ですので、ここからは実際に『トスをどこに上げたら良いか?』について考えてみましょう。
 もし貴方が『ボールを使わない限りサーブのスウィングが出来る』のであれば、ここから先に何の問題もありませんが、素振りの段階で問題があるようなら、まずはちょっとした練習方法を試してみましょう。
 用意するのは手拭いサイズのタオル1枚。これの片方の端に結びコブを作り、結んでいない方の端を持って、プロや上手なヒトのサーブのスウィングを真似して腕を振ってみましょう。タオルが常にピンと張った状態を保てるのであれば、貴方のスウィングは基本的に間違っていないと言えます。もしも途中でたるんでしまったり、最後までうまく振り切れなかった場合は、スウィングの動作のバランスが悪いか、または途中の動作の速度が不適切である(遅い場合だけでなく早過ぎる場合もある)という事です。
タオルの端は、スピードがついた状態で身体に当たると結構痛いものです。また、天井から下げてある蛍光灯などに当たると事故の元になります。この後ラケットを使う場合も含めて、周囲の安全を確かめ、自己責任で行って下さい。
 何度でもうまく振り切れるようになったら、これで貴方のスウィングの『素振り』は完璧です。次はタオルをラケットに持ち替えて、同じように振ってみましょう(まだまだボールは使いません)。タオルでの練習をキッチリやったなら、スムーズに振れるようになっているはずです。
 さあ、ここからが本番です! 自分のスウィングが安定して来たと思ったら、次はそのスウィングの途中(上の方)で、ラケット面が相手コートを向く瞬間(場所)を見つけて下さい。もしもうまく相手コートを向いてくれない場合は、スウィングを変えるのではなく、ラケットの握りを持ち替えて調整します。

 …うまく見つかりましたか? そこが、貴方がサーブを打つべきポイントです!

 要は、実際にボールを使うようになった時に、その場所・そのタイミングでラケットとボールが当たってくれれば良いのです。それがキッチリ再現出来るようになれば、貴方のサーブはもう完璧! 何度打ってもバッチリ決まってくれるはずです。もしもアウト(オーバー)するようであれば、このラケットとボールの『遭遇点』をほんの少し前にずらします。その位置ではラケットもほんの少し前に倒れはじめているはずですから、打球はほんの少し下向きに飛び、アウトしなくなります。同じ理屈で、ネットしてしまう時には遭遇点をほんの少し後ろにずらせば、ネットを越えるようになります。
 『遭遇点』にキッチリとトスを上げる技術は、前回のレッスンで解説しました。前回の練習をキッチリとやった方なら、この微妙なトスのコントロールも難なく出来るようになっているでしょう。
 このように、スウィングがある程度固まってしまえば、(それが多少見栄えが悪くても)サーブを入れるようにすることは簡単です。今までは『始めにトスありき』だったのが、ここからは
始めにスウィングありき
に切り替わることで、毎回同じ動作を繰り返せるようになり、習熟の速度も上がるからです。
 この方法を使えば、色々な応用も比較的簡単になります。例えば『もう少し見栄えを良くしよう』とか、『スピードを上げよう』とか色々と欲が出て来ても、同じようにまずは『その為のスウィング(素振り)を身に付ける』事から始めて、短期間でキッチリとしたフォームを作り上げてしまいます。あとは、そのスウィングに合わせたトスを上げるだけ。勿論、慣れてくればそれらの動作を憶える期間そのものも早くなるでしょう。

さて、次回はこの考え方をもう少し進めて、コースの打ち分け技術を解説する予定です。サーブに関するレッスンは一応それで終わりになりますが、この3回を通じてキッチリと練習すれば、『サーブの達人』は目の前です。
 但し、実際にボールを使った練習は、次回からになります。今回の練習はあくまで
『サーブのスウィングを安定した状態で固定する』
事を主眼にしています。ボールを使うとどうしても『始めにボールありき』になってスウィングフォームを崩してしまいがちだからです。何とか次回まで我慢して、ボールを使った練習は控えるようにして下さい。

2006.10.10 Copyright(C)しんのすけ


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