今回は、ちょっと算数の知識が必要な…ってそこの『算数』と聞いた途端にジンマシンの出たアナタ! ご心配なく。算数ったって、何やら難しい計算を仕掛けようというのではありません。ごく初歩的な知識があれば十分理解出来る内容にしてますし、わかんなくったって感覚的に理解出来るよう、今回は説明図も付けてまっせ! いよっ、サービス満点♪
ってなオチャラケを言うてる間に話を進めましょう。まずは、この図1を見て下さい。
これは、コートの俯瞰図です。今、このコート(ダブルス)の対角線を目一杯使うショット(赤の斜線の軌道)を打たれたとします。普通、下側のようにベースラインと平行に動いてこの球を取りに行きますよね? その場合、実は、ボールの軌道に対して下がりながら打っている事がわかりますか?(図の『角A』が直角ではない) ここから少し数学的な説明を挟みますが、見るとジンマシンの出る方の為に、数式とかは下の方〜に書いておきます。ええ、もう無視して下さい。好きな人だけ見てくれたらOKですから。って、大して難しい計算でもありませんけどね。
とにかく、計算してみると、何と球の軌道に対して約25度も後ろ向きに動いている計算になるんですな。ありゃまあ驚いた。塾長自身、感覚的には『結構下がってるよな〜』と思ってましたが、こんなに下がってるとまでは思っていませんでした。
約25度、ってどのくらいかと言うのを身近な物にたとえてみると、昔よくお世話になった三角定規の一番とんがった奴、アレの先が30度です。あと、エスカレーターの標準的な傾斜角も30度。…近いけど、惜しいなあ〜。少し古い話ですが、長野オリンピックで一躍脚光を浴びた『モーグル』という競技で使うコースが平均斜度28.5度。おっ、近づいた。大工道具の鉋(カンナ)の刃先(一般用)の角度が25度ぐらいだとか(堅木用は30度)。ようやくドンピシャ!…って、何だか雑学コーナーみたくなっちゃいましたね。
スキーをする人なら、『最大斜度25度』なんて聞くと思わず『すっげえ〜!』と叫んでしまうのではないでしょうか?そう、結構な角度です。列車は勿論、非力な自動車では登る事も出来ない傾斜ですね。そんな大きな角度で下がりながら打つのが、何故一般的になっているのでしょうか?
ストロークをしていて、ポジションが悪くなってちょっと下がりながら打ってしまい、コーチに『こらっ!下がるなっ!』と怒られた経験のある方も多いでしょう。でも、横方向への移動では、誰も何も言いません。下がっているように見えないからでしょうか? いえいえ、ちょっと違います。
図1(上側)で見るとおり、もしも球の軌道に対して下がらずに打とうと思うと、随分と前に走り込んで打つ必要があります。でも、実際に試合中にこんな突っ込むような動きをしたら、雁行陣が崩れてしまい、相手前衛にポーチされた場合やストレートにロブを打たれた場合の対応が遅れてしまうでしょう。また、前衛とのポジションのバランスも悪くなり、弱点を突かれやすくなります。それらの事を総合的に考えて、敢えて斜めに動くのを容認しているのです。
そんな訳ですから、対角線に切れていく球は本来『下がりながら』打っている事を踏まえて、しっかりと踏み込んで(或いは踏ん張って)打つ必要があります。踏ん張りや踏み込みが足りない場合、球は十分にクロスに行ってくれません。
『クロスのストロークが苦手で、どうしてもセンター寄りに球が行ってしまい、よくポーチされる。』
という方は、そんな所に原因がある事も多いのです。
この話の延長線として、逆サイドでのフォアハンドの回り込みショットの事も考えてみましょう。図の2です。いくら得意なフォアハンドとは言え、25度の角度で後ろに下がり、身体の向きを(90+25=)115度も回して打つのは得策とは言えません。塾長はどちらかと言うと『(むやみな)回り込み』を奨めないのですが、その理由がここにあります。回り込んでのフォアは、思ったより難しいんですね。
但し、十分に時間があり、回り込んでも強く打ち込めるだけの実力がついてきたら、試してみたいショットではあります。特に、バックハンドが弱いプレーヤーにとっての、とっておきの1発、のような使い方が出来れば、かなり面白いゲームも出来てくるでしょう。
でも、くれぐれも、無理は禁物! 試せる場面は、意外に少ないと憶えておいて下さいね。