前回トップスピンを取り上げてから、アクセス数が急増!…という程には増えてませんけど(笑)、チョットだけ増えてました。皆さん、トップスピンには悩んでるのかな〜?なんて感想しきり。そこで今回も、前回に引き続いてトップスピンを取り上げ、今回は科学的にその謎に迫ってみましょう!
…と大見得を切ったはいいけど、そんなに科学的なデータを持ってる訳でもないしなあ〜。どんな風にしたらよかんべ? と思っていた矢先、とある場所で面白い話を聞き込んで来ました。テニスではなく野球の話なんですけど、なな、なんとあの『落ちる球』と言われているフォークボールが、実はストレートと同じくホップしている!という衝撃的な内容
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…え?野球にゃ興味がないからどうでもいいって? さいでっか。でも、ここからは一応野球にも多少の知識があるという前提で話を進めます。え〜もう強引に(笑)
『あの投手の球は打者の手許でホップする』
とか言われる快速投手のストレートは、投げる瞬間に人差し指と中指で球に逆回転(テニスで言うスライス回転)をかけており、その回転が重力による落下を妨げておるんだそうです。
ピッチャープレートから本塁前端までの距離は18.44m。実際には踏み込んで投げるので17m少々の距離になると思うけど、この距離を例えば時速160kmの快速球で投げても、かかる時間は約0.4秒。この間に球は重力により約80cm落下する計算になります。意外と落っこちるもんですなあ。(実際には球の回転や空気抵抗でかなり変動しますけど、そこまで要求しないでねっ!ここは物理や数学ぢゃなく、テニスの広場なの!…と逃げを打っておこう。)
ってな訳で、人間の目は経験則に従い、投手の手を離れた瞬間から手許に来るまでに『こんぐらい落ちるだろな〜』と予測を立ててスイングをする訳ですが、先に言ったようにストレートは逆回転により落ちる程度が鈍っているので、予測より上を通る事になります。それを打者の感覚で言うと『手許でホップする!』と、まあ、こんな具合になる訳ですな。
実際には重力に逆らえるような逆回転をかけるのは人間業では到底無理であり、第3者の目で見れば球は間違いなく落下してるんだけど、経験則に逆らうその落ちの鈍さが打者に『予想より落ちない』→『ホップしている』と錯覚させている訳です。
続いてはフォークボールの話ですが、人間の手の構造上、投球する瞬間に手首を内側に折る(=球に逆回転をかける)動作は出来ますが、どうやってもヒネッても、よしんば骨折するまで捻っても、順回転(いわゆるトップスピン回転)のかかった速球を投げることは不可能です。しかあ〜し!人差し指と中指の間とか親指と人差し指の間に球を挟んだり、或いは球全体を包み込むように握る事でこの
逆回転を最小限に抑える事は可能なんですな。
そうっ! 勘のスルドイあなたはエライ! つまり今度は、打者に『ストレート=落ちの鈍い球が来る』と思わせておいて、ほとんど自然法則通りに落下する球を投げる事によって、
『あ、(思ってたよりも)球が落ちた!』
と思わせている訳なんです!
長々と野球の話をしましたが、さてここからはテニスの話。本題です。
野球と違って完全で回転数も桁違いに大きい順回転=トップスピンをかけられるテニスでは、球を急速に落下させる事が可能です。但し、この特性を十分に理解していないと、トップスピンを『動作がハデでカッコイイSHOT』としか考えられず、この球の利点を活かす事が出来ません。野球の話は、ただのその前フリです。
トップスピンの最大にして唯一の特徴は、『落下する』という1点に尽きます。本当は細かい事を言うと他にもあるんだけど、この際そんなの無視! ええもう、言いきっちゃいます! 落ちるんです!(受験生が見てたらど〜しよ…)
では、テニスで落ちる球が必要なシチュエーションってどんな場面でしょう?
まず、相手前衛(或いは2人とも)が前に詰めておリ高い球では叩かれてしまう場合。こんな時は必要ですね。他には…。
あれ?あんまりありませんねえ。確かにストロークではアウトを防ぐ為にトップスピンを多用したりしますが、フラットにハードヒットしても、ネット上の低いところを通せばそんなにアウトはしません。シングルスのようにサイド側が狭い時にショートクロスを狙う場合は確かに必要ですが、これも球速を落とせば何とかなります。『トップスピンでなければならない』シチュエーションなんて、意外にないものです。むしろ、強いトップスピンをかけるという事は、スイングの力をラケットの前後方向の動き(球に速度と強さを与える)よりも上下方向の動き(球に回転を与える)に割くという事ですから、下手をすると回転ばっかりでヒョロヒョロした球しか打てなくなってしまいます。
よく、来る球来る球片っ端から猛烈なトップスピンをかけている方をみかけますが、そんな事をしたって早晩手首を痛めるだけです。要は適材適所。ショートアングルや前衛の足元狙いといった必要な場面でのみ、手首を柔らかくシャープに振るトップスピンを使えば、あとは軽いスピン回転だけで十分です。傍目で見ても、強くて重いフラットなストロークで相手を追い込み、ここぞという時にだけしなやかな振りでショートクロスを突くテニスの方が、スマートでカッコイイと思いますよ。
という訳で、今回の話は、背中に『トップスピン命!』と刺青でも彫っていそうなトップスピンマニアの皆さんに捧げる『トリビアの種』でした(笑)。